2012年12月30日

測定ネットレポートNo6 2012年6月〜12月までの測定報告(その1 食品編)

測定ネットレポートNo6

2012年6月〜12月までの測定報告(その1 食品編)

 依頼を受けた測定ならびに自主測定したものについて、その結果を報告します。
依頼を受けたものについて、測定ネットでは、基本的に都道府県名、品名、測定値を公開することとしています。

測定ネットは一般食品・土壌・水等の測定も承っています。
まだ測定に余力がありますので遠慮なくご相談ください。
測定についての案内はこちらから。
http://sokuteinet.sblo.jp/category/1310239-1.html

品目       産地   容量(ml) 重量(g) 時間(秒) Cs137(Bq/kg) Cs134(Bq/kg)

牡蠣       宮城県  500ml   587.3  1800   ND(2.698)   ND(2.954)

なす(可食部)  茨城県  350ml   193.7 7200   ND(3.550)    ND(4.029)
まくわうり    茨城県  1000ml   969.9  7200   ND(0.683)     1.15±0.869(0.815)

空心菜      東京都  1000ml   886   14400  1.32±0.558(0.524) 2.11±0.669(0.623)

じゃがいも   茨城県   1000ml   791.3  3600   ND(0.841)     ND(1.001)

じゃがいも   秋田県   1000ml   963   7200   ND(0.689)     ND(0.817)

じゃがいも   東京都   1000ml   936.1  7200   ND(0.712)     2.00±0.895(0.843)

にんじん    茨城県   1000ml   583.9  7200   ND(1.631)     2.37±1.246(1.942)

あんず     長野県   1000ml   646.1  7200   ND(1.077)     ND(1.303)

ブルーベリー  不明    500ml    385   7200   4.77±1.731(1.984) 2.56±1.818(2.163)

洋梨(非可食部)長野県   1500ml   850.8  7200   ND(1.041)     ND(1.208)
洋梨(可食部分)長野県   1500ml   1495.5  7200   ND(0.592)     ND(0.687)

生落花生(殻付)千葉県   1500ml   445.2  7200   3.91±0.740(1.999) 5.24±0.870(2.329)
生落花生(中身)千葉県   350ml    189.3  7200   4.42±2.191(3.626) 1.93±2.414(4.135)

大豆2011年産  茨城県   1500ml    990   7200   26.23±1.208(0.899) 19.49±1.173(1.047)

大豆2011年産  秋田県   1500ml   1053.5  7200   ND(0.800)     ND(0.931)
大豆2012年産  秋田県   1000ml   806.1   7200   ND(0.823)    ND(0.976)
黒豆2012年産  秋田県   1000ml   801.3   7200   ND(0.828)    ND(0.982)
玄米      秋田県   1500ml   1338.6  7200   ND(0.661)     ND(0.772)
玄米      秋田県   1500ml   1340.3  7200   ND(0.660)     ND(0.771)
玄米      秋田県   1500ml   1340.2  7200   ND(0.661)     ND(0.767)
玄米      秋田県   1500ml   1362.7  7200   ND(0.649)     ND(0.759)
茶2011年産   静岡県   350ml    156.1  7200   365.14±9.678(7.954)   206.48±8.169(8.658)

茶2010年産   熊本県   350ml    167.3  7200   ND(7.422)     ND(8.078)

レモングラス  神奈川   500ml   74.7   14400   8.30±1.346(7.228)   10.37±1.472(7.848)
レモングラス茶 神奈川   1500ml   1500   7200   ND(0.593)     ND(0.691)
ローズマリー  神奈川   500ml    167   14400   7.29±1.359(3.236)    5.54±1.431(3.508)

干椎茸(不出荷)茨城県   350ml    50.1   7200   668.54±12.586(24.783)    425.71±10.823(26.975)

干し柿     長野県   500ml    572.2   7200   ND(1.34)     ND(1.465)

梅シロップ   神奈川   500ml    582.4   7200   ND(3.907)     ND(4.264)
梅(ガラ)   神奈川   500ml    410    7200   ND(1.863)      ND(2.031)
赤ジソシロップ 神奈川   500ml    604.3   7200   ND(1.264)     ND(1.378)

赤シソ梅酢漬け 東京都   500ml    591.3   7200   ND(1.3)      ND(1.416)


解説 自家測定と依頼測定によって測定時間やバックグラウンドなどが異なるため、測定下限値が違ってきますが、測定場所はすべて同じです。
測定結果で、セシウム137がND、セシウム134が測定下限値を超えているものがあります。数回測定しても、このような結果になることがあります。
カリウム40が高い場合などで測定誤差が大きくなったり、誤検出を生みやすくなります。いずれも自主測定のものです。時にこのような結果があることをお伝えしておきます。同様に、いくつか、セシウム134が大きくなる結果が見えます。しかし、2桁(10Bq/kg)以上の検出がある場合、セシウム137、134のバランスは、東京電力福島第一原子力発電所事故後のセシウム134の半減期により、減少率が高いため、測定時期ごとに同じような傾向(比率)になります。
測定結果をごらんの通り、バックグラウンド、測定時間、量が揃えば、装置としては1Bq/kg未満の結果を出すことは可能です。
しかし、測定をしている側からすると、NaI(Tl)シンチレーションスペクトロメータの場合、スペクトルの一定の範囲を使用して検出結果を分析するため、ゲルマニウム半導体検出器に比べると、1Bq/kgといった厳密な測定は信頼性の面で「絶対」を言えないと思います。
依頼測定の場合、希望に応じて測定下限値を1Bq/kgより下回るように、バックグラウンド、測定時間、量や密度を整え、可能な限り丁寧に測定しています。
その上で、このような説明をして、厳密さを求めるならばゲルマニウム半導体検出器での測定をおすすめしています。
posted by 事務局 at 21:06| 測定レポート

2012年06月16日

測定ネットレポート5 雨や雪でのガンマ線の誤検出に注意したい

雨や雪でのガンマ線の誤検出に注意したい

 先日、茨城県の農家の地下水(井戸水)を測定しました。以前にも測定したことがあるのですが、1500mlでより厳密に測ってみようということになったのです。
 測定をしてみると、今まで見たことのないスペクトルが出てきました。放射性ヨウ素131の近くと、放射性セシウム134の大きな2つのピークのうちひとつの近くだけに大きな山が出ます。
 聞くと雨の直後に採取した水だとか。
 そこで、ラジウム226からの自然界にある放射性物質の影響を疑いました。
 ラジウム226は、ラドン222→ボロニウム218→鉛214→ビスマス214→と、放射線を出しながら、別の核種に変わっていきます(壊変)。このとき、鉛214、ビスマス214は短時間のうちにガンマ線を出します。そこで、ラジウム226やラドン222があると、ガンマ線として測定されることになります。ラドン222だけであれば、半減期が3.8日と短いので、1週間も置けばガンマ線の検出は少なくなります。
 一方、ラジウム222がある場合は、半減期が1600年なので、ガンマ線の検出量は変わらないことになります。ラジウム222は固体なので、雨よりも地下水の中に含まれるラジウムの疑いが出てきます。
 いずれの場合でも、放射性ヨウ素やセシウムとは異なります。
 特に、ビスマス214のピークが見られますので、そのあたりを参考にしながら誤検出を防ぐ努力が必要になります。
06-01.jpg
グラフ1

06-02.jpg
グラフ2


グラフ1を見てみると、I-131のピークよりも左側にピークが出ます。また、Cs-134の場合605.0keVと795.8keVにピークがあり、ふたつの山をつくりますが、今回は605.0keVしか山がありません。このあたりが目安になると思います。


 ちなみに、茨城の地下水は、1週間後に測定したらかなり減衰していたので、雨によるラドン222の影響ではないかと推定しています。(グラフ2では同じような波形ですが、カウント数が減っています。いずれも2時間測定)

ラジウム226からの壊変()内は半減期
ラジウム226(1600年)→α→ラドン222(3.8日)→α
→ポロニウム218(3分)→α→鉛214(27分)→β(γ線出す)→ビスマス214(20分)→β(γ線出す)→ポロニウム214(0.00016秒)
→鉛210(22年)→ビスマス210(5日)→ポロニウム210(138日)→鉛206(安定)
posted by 事務局 at 21:14| 事務局より

測定ネットレポート4 安くて、便利な遮蔽体は、水

安くて、便利な遮蔽体は、水

 食品などの放射線を測定する上で、大切なことのひとつは、バックグラウンドの放射線量を低減することです。食品などの放射線量を測定する際には、バックグラウンドの放射線量を差し引く必要があります。食品などの放射線量はバックグラウンドに比べるとわずかなので、バックグラウンドが低ければ低いほど、より正確な測定が可能になります。
 放射線測定器に、鉛などの遮蔽がついているのは、バックグラウンドを低減させるためです。

 バックグラウンドの放射線はどこから来るのか?
 基本的には、大地と大気と宇宙です。宇宙からは宇宙線が降り注ぎます。この宇宙線が放射線です。宇宙線は銀河系の超新星爆発によるものや、太陽活動によるものなどがあります。また、宇宙線によって大気中などの物質が相互作用を起こし、二次宇宙線を発生させます。
 大気中には、そのほか、地球内部からのラドンなどの気体による放射線もあります。
 大地からは、カリウム40を含めた地殻にある自然の放射線がでています。
 雨が降ると、放射線モニタリングポストなどの数値が一時的に高くなるのは、大気中の放射性物質が雨とともに地面に落ちてくるためです。
 また、東京電力福島第一原子力発電所の事故によって放出された放射性物質が存在していると、当然ですが、バックグラウンドも高くなります。

 バックグラウンドを下げるためには、そもそもバックグラウンドが低い場所に測定器を設置すること、鉄筋コンクリートのビルなど遮蔽効果のある壁の建物に設置することなど、設置条件もあります。
 生産者と消費者をつなぐ測定ネットワークの測定器は、木造家屋の1階に設置しています。床下はコンクリで、床は一般的な木材のボード、回りは石膏ボード、天井もボードで屋根は瓦ぶきの場所です。エアコンは24時間つけっぱなしで、温度計とパソコンをつないで、測定装置の中と外の温度を記録し、温度差が±0.5度C内に収まるよう調整しています。
 測定器EMF211縦型は、重さが240kgあり、設置前に床下を床束を使って補強してあります。
 場所は、神奈川県茅ヶ崎市ですので、比較的放射線量は低いところですが、設置場所の木造家屋は、あまりいい条件ではありません。

 2011年11月末から測定を開始し、バックグラウンドをとってきましたが、おおむねトータルレート15.5cps(1秒間に15.5回)の放射線量がバックグラウンドとして測定されていました。
 これを少しでも下げようと、測定器に付属の遮蔽体とは別に、外側を遮蔽してみようと考えました。
 鉄板、鉛版、コンクリート…いろいろ考えましたが、一番安くて、つぶしが効いて、遮蔽効果が上がりそうなもの…、水! 水です。そこで、ミネラルの少ない軟水のペットボトル2リットル6本入りが安売りをしているたびに購入し、床下や測定器の回りに配置してみました。現在周囲に約180kg分、床下には36kg分を配置しています。
 見た目は不格好ですが、なにもしていなかったところから、水を周囲に配置しただけで、安定してバックグラウンドがトータルレート14.5cps程度まで下がりました。
 これだけでも測定下限値を下げることができます。装置の性能が上がる、ということです。このあとは、床の耐荷重を考えながら、床下や天井などの対策を考えて、可能な限り下げていきたいと思います。

 なお、バックグラウンドのカウント(cps)は、装置によって異なりますのでEMF211縦型以外の方の参考にはなりません。

06-03.jpg
posted by 事務局 at 20:55| 測定レポート