2012年06月16日

測定レポート3 森林の汚染は、循環と食文化に影響しています

森林の汚染は、循環と食文化に影響しています

 生産者と消費者をつなぐ測定ネットワークは、食品以外に、土壌や肥料、水なども測定をしています。この冬から春にかけては、薪ストーブの灰を測定することがありました。
 薪ストーブは、とてもいいものです。地域の間伐材や放置された枝、剪定枝などを使うことができます。自然エネルギーとして、伝統的で、分かりやすい熱エネルギーです。
 薪ストーブは、暖房、お湯を沸かす、料理するなど様々な使い道があります。
 そして、灰がでます。
 木灰は、貴重です。
 畑にまけば、とてもいい肥料です。
 山菜の季節のあく抜きにも使います。
 ところが、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染は、この伝統的な再生エネルギーの循環の輪を断ち切ってしまいました。

 焼却した灰は、元の木に低濃度の放射性物質が入っていても、濃縮されて高い濃度になります。東日本の薪ストーブの灰からは、のきなみ東京電力福島第一原子力発電所由来の、半減期が比較的短い(2年)のセシウム134を含む、高い濃度の放射性セシウムが検出されています。
 驚いたことに、先日の報道で、岡山の輸入集成材工場の端材を原料にした木質ペレット(ペレットストーブ用)を燃やした灰から、高い濃度の放射性セシウム(セシウム137)が検出されました。こちらは、半減期が約2年のセシウム134が検出されず、半減期30年のセシウム137のみが検出されたこと、原料が北欧材だったことから、チェルノブイリ原発事故由来の放射性物質と考えられます。北欧では、一部の地域で、チェルノブイリ原発事故による高濃度の放射能汚染があり、現在も放射能汚染が続いています。原料に木の皮などが含まれていなかったことから、木が根などから取り込んだ放射性物質が長く木材に残ることが分かりました。
 今のところ、西日本の薪や灰には問題はありません。

薪や灰について、現在、国が出している指標や規制は以下の通りです。
(いずれも放射性セシウムの濃度)

調理加熱用に使用する薪や木炭については、
 薪(乾重量)… 40Bq/kg
木炭(乾重量)…280Bq/kg


きのこ栽培に使用する原木、ほだ木、培地、菌床については、
きのこ原木及びほだ木… 50Bq/kg(乾重量)
菌床用培地及び菌床 …200Bq/kg(乾重量)
(一部経過措置あり)


薪等の燃焼灰を、食品の加工、調理に用いない(製麺、アク抜き、凝固剤等)
(17都県対象)

肥料、土壌改良材などに使う場合
400Bq/kg(製品重量)

灰の処分(汚染状況重点調査地域対象)
8000Bq/kg未満は、「その安全性が確認された場合を除き、庭や畑にまいたりせず、市町村等が一般廃棄物として収集し、処分」
収集した灰が8000Bq/kgを超える場合は、放射性物質の指定廃棄物申請が可能。(市町村)


となっています。参考にしてください。
対象地であるかどうかにかかわらず、放射性セシウムが含まれた木を燃やした灰は濃縮されて高い濃度の放射性セシウムを含む可能性があることを理解しておく必要があります。



■放射性セシウムを含む肥料・土壌改良資材・培土及び飼料の暫定許容値の設定について 2011年8月1日
http://www.maff.go.jp/j/syouan/soumu/saigai/shizai.html

肥料・土壌改良資材・培土中の放射性セシウムの暫定許容値(最大値)
400ベクレル/kg(製品重量)
例外…
農地で生産された農産物の全部又は一部を当該農地に還元施用する場合
畜産農家が飼料を自給生産する草地・飼料畑等において自らの畜産経営から生じる家畜排せつ物又はそれを原料とする堆肥を還元施用する場合
畜産農家に供給する飼料を生産している農家等が、当該飼料を生産する草地・飼料畑等において、当該飼料の供給先の畜産経営から生じる家畜排せつ物又はそれを原料とする堆肥を還元施用する場合


■きのこ生産資材用のおが粉等並びに調理加熱用の薪及び木炭の安全確保の取組について 2011年8月12日
http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/shiitake/2.html

福島県において、原発事故後、風雨にあたる状態で屋外におかれた
きのこ生産資材用のおが粉等並びに調理加熱用の薪及び木炭
原木の樹皮を除かずに製造されたきのこ生産資材用のおが粉
原木を原料とする調理加熱用の薪及び木炭
の譲渡(有償、無償を問わず)、利用の自粛
ただし、きのこ生産資材用おが粉のうち、生産されたきのこが安全であると確認されたおが粉、調理加熱用の薪及び木炭のうち、表面の放射線量を測定した結果、安全であると確認されたものは自粛を解除


■調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値の設定について(林野庁) 2011年11月2日
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/111102.html

調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値(放射性セシウムの濃度の最大値)
 薪(乾重量)… 40Bq/kg
木炭(乾重量)…280Bq/kg

これを超えるものについては、生産、流通、使用をしないよう指導。


■環境省 薪ストーブ 等を使用した際に発生する灰 の取扱いについて(PDF)2012年1月19日
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/no120119001.pdf

汚染状況重点調査地域を対象
2012年2月24日現在、104市町村(岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県)

8000Bq/kg未満は、「その安全性が確認された場合を除き、庭や畑にまいたりせず、市町村等が一般廃棄物として収集し、処分」
収集した灰が8000Bq/kgを超える場合は、放射性物質の指定廃棄物申請が可能。(市町村)


■薪、木炭等の燃焼により生じる灰の食品の加工及び調理への利用自粛について 2012年2月10日
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/120210_1.html

17都県(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県及び静岡県。以下「17都県」という)から採取される原料、採取された原料から生産された薪等及び17都県で保管された薪等。
燃焼によって生じた灰を、食品の加工及び調理に用いないこと(製麺、アク抜き、凝固剤等)。


■きのこ原木及び菌床用培地の当面の指標値の設定について 2011年10月6日発、2012年3月28日一部改定
http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/shiitake/sihyouti.html
■きのこ原木及び菌床用培地の当面の指標値の改正について
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/120328_2.html

(1) きのこ原木及びほだ木 50Bq/kg(乾重量)
(2) 菌床用培地及び菌床 200Bq/kg(乾重量)
(一部経過措置あり)

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posted by 事務局 at 20:53| 測定レポート

2012年06月09日

測定レポート2012年5月

測定レポート2012年5月

依頼を受けた測定ならびに自主測定したものについて、その結果を報告します。
依頼を受けたものについて、測定ネットでは、基本的に都道府県名、品名、測定値を公開することとしています。

測定ネットは一般食品・土壌・水等の測定も承っています。
まだ測定に余力がありますので遠慮なくご相談ください。
測定についての案内はこちらから。
http://sokuteinet.sblo.jp/category/1310239-1.html

番号 品目        産地   容量(ml)/時間(秒) Cs137(Bq/kg) Cs134(Bq/kg)
01  有機資材(固形)  愛知県  1500/7200     ND(0.918)  ND(1.052)
02  米         新潟県  1500/7200     1.98±0.720  1.34±0.812
03  木灰        長野県  500/7200      31.28±5.705 220.34±4.988
04  どくだみ      神奈川県 500/7200      4.08±1.76  3.87±1.918
05  ウメ        熊本県  900/7200      ND(2.84)   ND(2.985)
06  ウメ        神奈川県 900/7200      ND(2.91)   ND(3.059)
07  ウメ        茨城県  900/7200      11.13±2.112 7.18±2.107
08  ウメ(刻み・全体) 茨城県  1500/14400     11.7±0.654 8.97±0.698
09  ウメ(刻み・種)  茨城県  350/7200      11.56±4.255 9.98±4.61
10  ウメ(刻み・実)  茨城県  900/7200      12.98±2.149 8.47±2.132

(再掲 先月)
   梅干し(自家製)  茨城県  330/14400     32.37±3.646  22.07±3.815
   梅干し(自家製)  神奈川県 330/14400     5.16±3.226   5.20±3.553

ND(不検出)の()内の数字は、測定下限値、数値が記されたものは、測定下限値を超えた「検出」のもの
測定時間7200秒(2時間)の場合、バックグラウンドは8〜12時間

少し解説をします。先月、2011年産の梅干しを測定しました。これは、311後の神奈川県と茨城県の梅を使用して同じように作った梅干しを測定したものです。茨城県のものが約50ベクレル、神奈川県のものが約10ベクレル放射性セシウムが検出されています。
そこで、2012年の梅の季節、同じ神奈川県と茨城県の同じ梅を入手し、その生梅を測ってみました。
それが、06と07〜10です。また、参考までに熊本県の梅も測ってみました。5〜7はそのあと梅干しに加工するため、丸のまま900mlの容器に入れた状態です。同条件で測定したものです。熊本県の梅は、気配もなく、神奈川県の梅は測定下限を下回っていました(難しいところです)。
茨城県の梅については、放射性セシウム合計で約20ベクレル/キログラム程度出ましたので、梅を刻んで丸ごとフードプロセッサーにかけ、それを1500mlのマリネリ容器に詰めて測定しました。ほぼ同様の20ベクレル/キログラムでした。その後、生産者から、種を除くと下がるのでは、との指摘をいただき、すでにフードプロセッサーで一部の種が破壊されてはいましたが、できるだけ分離してそれぞれ350ml、500mlの容器で測定をしてみました。こちらは、特に優位な差は出ていません。しかし、種がクラッシュした状態からの分離でしたので、あくまで参考までとなります。
このあと、茨城県の梅を再入手し、昨年と同様に梅干しに加工する工程を行い、それを測定することで、2011年産の梅がどのような状況にあったのか、検証してみたいと思います。また、梅干しは保存が利きますので、将来の検証用にとっておきたいと思います。

測定ネットの装置は、ごらんの通り、まだまだ測定の余裕があります。
人的パワーは限られますが、ご相談いただければ、いろんな形での測定をいたしますので遠慮なく、ご連絡ください。(連絡先等は、PDFに掲載しています)
http://sokuteinet.sblo.jp/category/1310239-1.html

検出限界、定量下限、測定下限については、http://sokuteinet.sblo.jp/article/55146576.html をご覧ください。
詳しくは、http://sokuteinet.sblo.jp/article/55146570.html をご覧ください。

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posted by 事務局 at 11:39| 測定レポート

2012年05月07日

測定レポート2012年4月

測定レポート2012年4月

依頼を受けた測定ならびに自主測定したものについて、その結果を報告します。
依頼を受けたものについて、測定ネットでは、基本的に都道府県名、品名、測定値を公開することとしています。

4月より、測定用のソフトウエアが測定器メーカーによりバージョンアップされました。4月中に、バグフィクスなどもあり、測定後の表現や処理が少々変わったところもあります。

なお、測定ネットは4月より一般食品等の測定も承っています。まだ測定に余力がありますので遠慮なくご相談ください。


番号 品目       産地    容量(ml)/時間(秒) Cs137(Bq/kg)   Cs134(Bq/kg)
01  有機資材(固形) 神奈川県   330/3600      168.23±10.695  81.90±7.884
02  乳製品(チーズ) 神奈川県   330/3600      ND(8.684)   ND(9.599)
03  土壌        神奈川県  1500/7200      27.72±1.064    20.27±0.991
04  水道水       神奈川県  1500/7200      ND(0.633)   ND(0.748)
05  料理(丸ごと)  神奈川県  1000/3600      ND(1.134)   ND(1.376)
06  梅干し(自家製) 茨城県   330/14400      32.37±3.646    22.07±3.815
07  梅干し(自家製) 神奈川県  330/14400      5.16±3.226     5.20±3.553
08  はちみつ     神奈川県  1000/14400      ND(0.412)     ND(0.499)

ND(不検出)の()内の数字は、測定下限値

検出限界、定量下限、測定下限については、http://sokuteinet.sblo.jp/article/55146576.html をご覧ください。
詳しくは、http://sokuteinet.sblo.jp/article/55146570.html をご覧ください。
posted by 事務局 at 22:20| 測定レポート